おこぼれ聖女と魔眼の騎士
 




ここマントラスト王国はとても平和な国だけど、何十年かごとに『瘴気』と呼ばれるものが溜まってしまう時期があるらしい。
それが世にはびこると悪い病が流行ったり、野生の獣が魔獣化して人を襲ったりするのだ。

そんな時に、病で苦しむ人たちを治療したり瘴気を浄化すり力を持つ方が突然現れる。
その方は聖女と呼ばれていて、有名な物語や劇にもなっているくらいだ。
だから幼い子どもだって、聖女様の素晴らしさを知っている。

とくに女の子にとって、聖女様はあこがれの存在だ。
ある日突然、聖女としての力が女の子に宿るらしいから『いつか自分にも』なんてあこがれを抱く。
だって、聖女様になったら身分も地位も保証されるし、王族との結婚だってできるのだ。

院長様は私が枯れた花をよみがえらせるのを見て『もしかしたら聖女かもしれない』と思われたのかもしれない。
あえて秘密にしようとおっしゃった理由はわからない。
それに私も、自分に聖なる力があるなんて思ってもいなかった。




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