おこぼれ聖女と魔眼の騎士


しばらく歩いたところで、アランさんが話しかけてきた。

「ところで、井戸の水が枯れてしまう理由はわかる?」

「それは……」

まさか『私、瘴気が見えるんです』とは言えなくて、口ごもってしまう。

「なんとなく、王都の地下を流れる水になにか起こっているんじゃないかな……なんて思ったりして」

冷や汗をかきながら、言葉を選んだ。
人には見えないものが見ているなんて、アランさんに知られたくなかった。
だって気持ち悪いって思われたくないんだもの。

「王都の地下?」

私の大ざっぱな説明に、アランさんは怪訝な顔をする。

「王都には、北の山脈が水源のマントール川が流れ込んでいますよね」

こういう難しい話はセバスじいちゃんが教えてくれるのだ。

「川は北の山脈から流れ出ているな。もともとの水源が問題なのか」
「水源もですけど、川の下には伏流水っていうのが流れてるってセバスじいちゃんから聞いています」

「それが工事の影響で、どうにかなってるってことか?」
「よくわからないけど、影響がでてるのかもしれません」

「ふうん……」

アランさんは考え込んでしまった。




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