おこぼれ聖女と魔眼の騎士


「今日こそ、セバスじいさんに会えるかな」

ふいにアランさんが話を変えてきた。

「そうですね。そろそろ薬草取りから帰ってくる頃なんですけど」

アランさんからは何度かじいちゃんに会いたいと言われたのだけど、これまでは薬を届けに出かけていたり薬草取りに出かけていたりしてタイミングが合わなかったんだ。

(もしかして……)

じいちゃんがアランさんを避けている可能性があるな。

(私のことを聞かれても困るもんね)

エンド地区の井戸のことがあった日、家に帰ってからじいちゃんに瘴気のこととか騎士団のこととか話した。
その時に赤い髪と瞳の騎士に会ったと話したら、じいちゃんの眉がピクリと動いたっけ。

じいちゃんは『赤い髪と瞳』という言葉に反応したけど、あの眉の動きはアンテナみたいなものだ。

『シュナーデルのやつか……』

じいちゃんのつぶやきの意味はよくわからなかったけど、アランさんに警戒したことはわかった。

そのシュナーデルっていうのが人の名前か土地の名前なのか、私にはさっぱりわからなかったけど。



< 43 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop