おこぼれ聖女と魔眼の騎士
「これから悪い病気が流行るかもしれない。薬屋にとってはありがたいようなありがたくないような話だけどなあ」
アランさんは私の方に目を向けてきた。
「井戸の治癒師さんに活躍してもらわないといけないですね」
「は、はい」
返事はしたものの、私の本来の仕事は神殿の治療院で働く治癒師見習いなんだけど。
「この子はいずれ、もっとお役に立ちますよ」
おまけにじいちゃんがとんでもないことを言いだした。
「セ、セバスじいちゃん、私なんて役に立たないよ」
「もちろん、わかってます」
アランさんまで、納得しないで欲しい。
なんだかわからないけど、あんなに険しかったふたりの表情が明るくなったみたいだ。