おこぼれ聖女と魔眼の騎士





私は十二歳になってすぐ、アドラさんの店で働き始めた。
アドラ園芸店の二階に住み込んで、大勢の職人さんのお世話や現場での雑用を手伝うのが私の仕事だ。

職人さんの世界だから上下関係はハッキリしているし、実力がものをいう。
最初は女の子だからと見下されていた。
でも自分で言うのもおかしいけど、私はけっこう役にたつ子だった。

修道院で教わったから掃除や洗濯、料理の下準備だってばっちりだ。
小柄なことが幸いして植え込みの下に落ちた木切れや葉っぱ拾いも大丈夫。
読み書きもできるし簡単な暗算だって得意だから、すぐに職人さんたちから仕事を頼まれるようになった。

外の仕事をしたり事務所で請求書を書いたり忙しかったけど、大好きな花や木に囲まれているから苦にならない。
それに衣食住完備だから、生活に困ることがないのだ。

庭師のアドラさんは、私たち住み込みの従業員にとってお父さんみたいな人だ。

「お前ら、しっかり食べて大きくなれよ」

アドラさんの口癖だ。

「特にエバはチッコイんだからたくさん食べるんだぞ」
「は~い」

毎日の食事はボリューム満点でお腹いっぱいになるまでご飯を食べたけど、残念なことに背だけは伸びなかった。



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