おこぼれ聖女と魔眼の騎士
「お茶をお持ちいたしました」
ソニア様と一緒に院長室に入ると、院長様とアランさんが向き合うように座っていた。
「ありがとう」
ソニア様はまるで院長様を守るように、すぐ後ろに立った。
私はテーブルにティーカップを置くと、部屋を出ようとしたがアランさんに止められた。
「エバにも聞いて欲しい」
「は、はい」
なんの話なのか想像もつかないけれど、部屋の空気が薄いんじゃないかっていうくらい張りつめている。
「シュナーデル様、私になんのご用でしょうか?」
ゆっくりと院長様が口を開いた。
「テレジア・リビングストン様、この王国のため、国王のために、どうかお力をお貸しください」
そう言うと、アランさんが深々と頭を下げている。私は驚いて、ポカンと口を開いてしまった。
「私になにをしろとおっしゃるの?」
しばらく黙ったあと、院長様が覚悟を決めたようにきっぱりとおっしゃった。
「あ、あの、やっぱり私、ここにいない方が」
居たたまれなくなってきた。
「エバ、君にも関係があるかもしれないんだ」
「私?」