おこぼれ聖女と魔眼の騎士
「俺には見えるんだ」
「見える?」
アランさんは不思議なことを言いだした。
「シュナーデル家の後継者には、悪しきものを見る力が宿る」
「口になさってはいけません!」
院長様が椅子から立ち上がりながら、悲鳴のような声をあげられた。
きっと私なんかに話しちゃいけないような重大なことなんだろう。
「いいのです。テレジア様。知ってもらわないと国王陛下を救えません」
「ああ……」
「力を貸してくださる皆さんに話すことは、正しいことだと思っています」
「シュナーデル様」
がっくりと項垂れて座り込む院長様。
「王太子妃の教育を受けていらっしゃるから、わが家の秘密をご存知だったのですね」
コクコクと院長様が首を縦に振っている。
「エバ、この赤い目は瘴気を見ることができる。それに加えて俺は、君の力も見えるんだ」
「ええっ!」
私の力って、見える人がいるの?
信じられなくて、大きな声が出てしまった。
「あの日、君は指先から光る粉のようなものをまき散らしながら王宮の庭で働いていた。それから眩しいくらいの光りを放って庭師のケガをあっという間に治してしまった」
アランさんの話を聞いてソニア様はキョトンとしているが、院長様はニッコリと微笑んだ。
「やっぱり、そうだったのですね」