おこぼれ聖女と魔眼の騎士
「そこのエバなる娘ほど、私たちの力は強くはない。だが、少しは役に立つであろう」
「!」
高貴な方々が、浄化のために朝から足を運んでくださったのだ。
私は感動して言葉が出なかった。
「ありがとうございます。けれど、水に力を入れるとなると跪いていただくことになってしまいます」
アランさんの言葉に、王妃様は声をたてて笑い始めた。
「ホホホ、なんのそれしき。のう、フローレンス」
「はい! 私の微々たる力でもお役にたてれば幸せです」
「王都の危機と聞いておる。気にするでない」
そう言うと、王妃様は私の方へ歩み寄る。
「ともに、力の限り」
「は、はい!」
それから私たちは三人そろって水際に立った。
さすがにおふたりにはクッションを準備していて、そこに膝をついて祈る姿勢をとる。
それから三人顔を見合わせて、同時に両手を水にの中に差し込んだ。
思い思いの言葉で、水に祈りを込める。
「国のためにお力をお貸しくださいませ」
「王都の民が救われますように」
おふたりは、同じ言葉を幾度も繰り返されている。
私は心の中でいつものように願った。
(すべての穢れよ、水の力で消え去れ)