おこぼれ聖女と魔眼の騎士
それから
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国王陛下はお亡くなりになった。
重い病のためと王宮からは発表され、すぐに王太子殿下が新国王に即位されて、フローレンス様が王妃様になられた。
アリアナ様は皇太后という地位につかれたが、王都の神殿で暮らすことになさったという。
これからは聖女の力を民のために使うと宣言されたからだ。
テレジア院長様は、王都のはずれにある修道院におられる。
あの日なにがあったのかひと言もお話しにならないが、国王陛下を看取られて満足されたのかもしれない。
意識が混沌としていた陛下は、テレジア様がおそばにおられたことを夢の中のことと勘違いされていたようだ。
幸せな夢を見たまま、最期の時間を過ごせたならよかったと思うしかない。
セバスじいちゃんに、それとなく国王陛下が瘴気にむしばまれた理由を聞いてみたが、答えははぐらかされた。
想像でしかないが、無理やり別れさせられたテレジア様への未練、王として後継者を作らなければならなかった自己嫌悪、国王としての重責。そんな長年積もり積もったうっぷんや怒りに、心が押しつぶされてしまったのだろう。
それだけ国王の地位というのは、大変なのかもしれない。
フローレンス様が新しい陛下を癒してくださることを願うばかりだ。
そして、今。
私は旅に出る準備をしている。
王都での瘴気の原因がセバスじいちゃんのいう自然の流れを変えてしまったことなら、川の源流まで足を運んでみるべきだということになったのだ。