ただ…傍にいたいだけ…
出逢い
俺と雛葉の出逢いは、俺の高校の入学式の帰りに行った、定食屋だ。


親に連れていかれた、定食屋。

ウザかった。

両親はいつも仕事が忙しくて、外食なんてしたことのない俺達家族。

俺の入学式だからって、今更………



「いらっしゃいませ!
三名様ですか?」

接客したのが、当時22歳の雛葉だった。


わ…/////ヤベ…可愛い…//////

一目惚れだった━━━━━



俺はずっと、雛葉を目で追っていた。

ショートボブで、小柄。
顔も身体も小さく、パッと見、俺と変わらないくらいの学生に見える。

ひ弱そうに見えるが、明るくて、ハキハキした女。

強面の男性客にも変わらない接客をして、ナンパも明るくかわす。

俺は、一気に虜になった。


細い腕で、俺達家族の定食の乗ったトレイを運んでくる。
「お待たせしました!
唐揚げ定食と、こちらが…しょうが焼き定食です!
レディース定食、すぐにお持ちしますね!」

「お姉さーん!お冷やー!」

「はーい!
すぐにお持ちしまーす!」


看板娘のように雛葉は人気者だった。




そんな雛葉。

この明るい笑顔の奥底に、とても悲しい過去を秘めていたことは………





この時の俺は、知るよしもない━━━━━━……

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