ただ…傍にいたいだけ…
「私と彼・石崎 良一(りょういち)さんは、高校生の時の先輩と後輩だった。
年は、私より二つ上。
真面目で、優しい人。
琉輝くんは、何も良いとこない奴って言ってたけど、本当にその言葉通りの人だった。
曲がったことが嫌いで、真っ直ぐで……とっても優しい人。
彼は、生徒会長だった。
私ね。
良一のこと、高校入学前から知ってたの。
実家のマンションが、同じだったの。
良一ね、私のこと全く覚えてなくて………
いつもエレベーターで会ってたのに、知らなかったんだよ?(笑)」

「マジで!?(笑)」

「可笑しいでしょ?(笑)
…………朝、エレベーターに急いで乗り込もうとする私に、いつも開けて待ってくれてた。
そんな小さな優しさに、少しずつ惹かれてて……
彼が着ていた制服の高校を調べて、受験して入学した。
生徒会にも入って彼に接近して、話すようになって、彼の高校の卒業式に私が告白したの」

「そっか!」

「━━━━━━━でも、フラれた(笑)」

「は?」

マジで!!?

「フラれた理由、聞いてムカつくよ?」

「え?」

「“僕は君みたいな可愛い子に相応しい容姿をしてないから、ごめんね”って。
はぁぁ!!?って感じじゃない?」

「なんだ、それ……(笑)」

「顔かよ!!?って!!」

「確かに……フり方が、なんか……(笑)」

「だから、私……家に乗り込んでやったの!!」

「プッ!?マジで!?(笑)」

「そんな理由は納得できない!!って!
だったら、カッコ良くなる努力しろよ!!って言ってやった!」

「確かに(笑)」

「………」
突然、雛葉が口をつぐんだ。

「ん?雛葉?」

「…………でも…本当は、違ったの」

「え?」
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