ただ…傍にいたいだけ…
その後も、雛葉は言っていた。

『良一ね。
“私の何処が好き?”って聞いたら“笑顔”って答えたの。
だから、笑って生きていこうって決めた。
私はこれからも、笑って生きていく。
だから琉輝くんも、どうか……笑って生きていってほしい!』



自宅の自室のベッドに寝転がっている、俺。

俺……フラれた…ん…だよな……


「そう…だよな……」


浮かぶのは、雛葉の笑顔。

きっと……旦那に胸張って生きていけるように、雛葉はどんなに辛くても、苦しくても、笑っているのだろう。


定食屋でいつも笑顔の雛葉。

“お帰りなさい!”と駆け寄ってきてくれる雛葉。

注文を“はーい!”と元気良く受ける雛葉。



「やだよ……」

目頭が熱くなる。

「やなんだよ!!」

鼻の奥が、ツンと痛い。

「俺は━━━━━!!」


雛葉を、諦めるなんて出来ない!!!



俺はまた、雛葉の働く定食屋に通うようになった。

「━━━━琉輝くん、お帰りなさい!」

変わらず雛葉は、俺を迎え入れてくれていた。



ただ……傍にいられればいい。

それ以上は望まない。


そんな気持ちで俺は、定食屋に通い続けた。

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