ただ…傍にいたいだけ…
募る想い
クリスマス。

俺は雛葉と、初めてデートの約束をした。

やっぱり一時間前に、待ち合わせ場所に着いていた。


“できる限り、傍にいる。
それなら、いいよ”

あの後、雛葉が続けて言った。

『恋人にして。
キスしたい。
抱きたい。
それ以外は、できる限り叶える』と。


どうしたの?急に。と聞くと、雛葉は切なく瞳を揺らし言った。


『……………だって、気持ちわかるから。
私も、良一に対して必死だった。
傍にいたかった。
何も出来なくても、ただ…傍にいて離れたくなかったから』と。



そして俺は、プレゼントのペアピアスを握りしめ、スーツケースを引いている。

「お待たせ!」

「遅い!!」

「ごめんね!
━━━━ん?凄い荷物ね!」

「ん?まぁね!」

「で、何処行きたい?」


「雛葉の家」


「………」

俺の唐突の言葉に、雛葉は固まってしまう。




「約束、ちゃんと守るよ。
恋人としてじゃなくて構わない。
キスもしないし、押し倒したりもしない。
でも、雛葉と一緒に住みたい!!
雛葉の家に、住まわせて?」

固まっている雛葉に、俺は言葉をぶつけるように言い放った。

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