ただ…傍にいたいだけ…
「それは、無理だよ?」

「なんで?
できる限り、叶えてくれんでしょ?」

「琉輝くんは、まだ高校生だよ?
まだ、子どもなの。
親の監督責任があるんだよ?」

「わかってる。
両親には、ちゃんと話してきた」

「え?う、嘘……」

「もちろん、同棲ってことになるとダメだが……
同居ってことなら、いいって!
要は!親しいお姉さんに、世話になる!みたいな!
いいじゃん!
恋人じゃねぇんだから!
それにさ。
前にも話したけど、俺はいつも家に一人だしよ。
朝早くから遅くまで、両親は仕事だろ?
いてもいなくても同じってのが本音みたいだけどな!」

「なんか……適当なんだね。
ご両親、弁護士なんだよね?
大丈夫なの?」

「だから!法に触れないやり方をしろってことだよ」

「あ、あぁ…」

「雛葉。
気持ち、わかるだろ?
俺はただ、傍にいたいんだ!
できる限り、離れたくないだけ!」


もう、何を言っても無駄!!

雛葉も、それがわかったのだろう。

渋々ではあるが、了承してくれた。



「ケーキ買って帰ろ?」

俺は、雛葉の手を握った。

「ちょっ…手!!」

「いいじゃん!手ぇ、繋ぐくらい!!」

そして握りしめ、手を引いたのだった。

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