ただ…傍にいたいだけ…
それから、乗り物に乗りまくった俺達。

「雛葉、大丈夫?」
「う、うん…」

「だから、手ぇ繋ごっつったじゃん!」

「だ、だって!あんな怖いと思わなかったんだもん!!」

「だから言ったじゃん!
ヤバいよ!って」

「うー
と、とにかく!休憩しない?」

「ん。
じゃあ……そこのあいてるベンチに座ってて?
俺、便所行って、ついでに飲み物買ってくるから」

便所に行き、コーラを二本買って戻ると、雛葉が電話をしていた。


「━━━━わかってる!!
うん、うん━━━━━え……わかっ…てる、よ……」

なんだか、言い争っている風だった。
雛葉は、苦しそうに顔を歪めて、薬指の指輪に触っている。

あぁ……旦那の話をしている。

俺は咄嗟にそう思った。

雛葉は、苦しい時、悲しい時、必ず薬指の指輪に触るから。
そして、旦那の話をする時も……


「━━━━━━雛葉!!!」
俺は、少し声を張り上げて雛葉を呼んだ。

バッと振り向いた雛葉は、目を見開き「琉輝くんが戻ってきたから」と言って、電話を切った。

「お帰り!」
微笑む、雛葉。

「誰?」

「わか子だよ!」

あぁ、雛葉のダチか!
会ったことねぇけど、名前よく聞く人だ。

「大丈夫?なんか、あった?」

「ううん!
それより、喉渇いたなぁー」
「うん」

「あー、コーラ!
琉輝くん!いつも言ってるでしょ!?
コーラはやだって!」

「なんでー」

「空気が溜まるの!!」

「いいじゃん!ゲップしても(笑)」

「はい?
やだよ!人前でなんて…!!」

クスクス笑う俺に、雛葉は頬を膨らませていた。
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