ただ…傍にいたいだけ…
俺は、その写真を見て固まった━━━━━━

「え……お、俺…?」

んなわけねぇよな?


びっくりだった。

自分で言うのもなんだが、俺にそっくりなのだ。

でも、顔がじゃない。
顔だけ見れば、もちろん別人だ。

でも、男の纏っている雰囲気が、俺とそっくりなのだ。

俺にそっくりの男が、雛葉とわか子さんの間で微笑んでいた。


「これ、雛葉と良一さんの結婚式の時の写真なの。
びっくりしたでしょ?
……………私も、今伴場くんに会って、びっくりした。
あまりにも、似てたから………!」

「わか子!」

「何?」

「後は“私達の”問題だから!
今日は帰って」

わか子さんを真っ直ぐ見て、意味深に言った雛葉。

その視線に、わか子さんは「わかった」と言って出ていった。


わか子さんを見送った雛葉。

くるっと振り返って、微笑んだ。
「琉輝くん、今日のランチ、キャンセルしていいかな?
話したいことあるし」


は?

なんか、やだ……


嫌な予感しかしない━━━━━━━━


「え?やだ」

「お願い!」

「嫌っつってんじゃん!!」

「私達……」

「あーあーあーあー、聞きたくない!聞きたくない!」
自分の耳を塞ぎ、大声を出す。


「琉輝くん!!!」
そんな俺の両手を持ち、俺の顔を覗き込んで雛葉が言った。



「もう………やめよ?」

と━━━━━━━
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