ただ…傍にいたいだけ…
別離
「━━━━━ごめん」

気付いた時には、外は真っ暗になっていた。

俺の中の“欲”が全て雛葉の中に出てしまい、妙にスッキリしていた。


その代わり、とてつもない罪悪感と自分自身に対しての嫌悪感が襲ってきていた。


完全に、嫌われた。


当たり前だ。

無理矢理犯した上に、雛葉の信用まで失くしたのだから。


雛葉は、泣いていた━━━━━

ただ、何も言葉を発することもなく。

ただ、ただ…泣いていた。



「俺、出ていくから。
荷物は、雛葉がいない時に取りに来る。
鍵は、最後にポストに入れとく。
……………ごめんな…」

俺は、静かに、雛葉のマンションを出ていった。




実家に帰り、久しぶりの自分のベッドの上に寝転んだ。

天井を見上げた。

雛葉のことを思った。

笑顔の雛葉がいた。

定食屋で働く、雛葉がいた。

『琉輝くん』

「雛葉…」

『琉輝くーん!』

「雛葉…」

『琉輝くん!!』

「雛葉…ごめ……」




『琉輝くん!!やめて!!』

「ごめん!ごめんな…ごめんなさ……ごめん、雛葉…ごめん…」



俺はその後、声をあげて泣いた。
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