ただ…傍にいたいだけ…
「何だよ……」

「話、まだ終わってないよ?」

「え………?」


雛葉が、俺の頬に触れた。

「ねぇ、琉輝くん。
もし将来、私達がまた出逢えることができたら………」



「え………」
そして、ゆっくり口唇をなぞる。




「その時は……“運命”だと思って、また最初から始めませんか?」


背伸びをして、俺の口唇に重ねてきた。




「え?え?
これ……夢?
つか、何の、キス?」

「勝手な女でごめんね!
でも、琉輝くんが求めてくれるなら………」

「え?」


「“運命”導いてよ?
私を見つけてみせてよ?」


「雛葉…」




そして雛葉は、今までで一番の笑顔を俺に見せた。

「琉輝くん、笑って過ごそうね!
もし、もう二度と会えなくても………」

「雛葉!」

「“またね”
琉輝くん」




雛葉は小さく手を振り、俺の前から姿を消した。



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