夕焼けの恋

『じゃあ、おやすみ』

「おやすみなさい」

俺は電話が切れてから大きく息を吐いた。

やはり、緊張していた。

とりあえず昂った気分を落ち着けたくて、その日はいつもより早く寝た。


翌日の朝、昨日早く寝たおかげで目覚めがいい。

そのせいで妙に冷静になってしまった。

この前は祐樹たちの運動会という名目があったが、次は正真正銘デートだ。

俺は思い立ってクローゼットを開ける。

それから俺は絶望した。

女子はおろか、友達ともろくに遊びに行っていない俺はまともな私服がない。