夕焼けの恋
その日の放課後。

早速昇降口で弥生を待つ。

下駄箱周辺で何気なく校門のほうに目を向けると、和真の姿があった。

俺は少し緊張する。

その時、弥生が出てきた。

靴を履き替えるのを横目で確認してから、少し遅れて昇降口を出る。

「弥生さん」

小走りで後ろから近づき、声をかける。

弥生は振り返ると驚いた顔をした後、俺を見た。

その顔にいつもの笑顔はない。

そのことに不安になりつつ俺は続ける。

「弥生さん、一緒に帰りませんか?」

「…うん」

返事をしつつ、弥生の意識は待っている和真に向く。

複雑そうな和真の横を通り過ぎた。
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