夕焼けの恋

「迷惑かけてごめんね」

ファミレスからの帰路、弥生がつぶやいた。

「迷惑なんかじゃないです」

その後、沈黙のまま歩く。

互いに言いたいことがあるのにタイミングを探しているような、そんな雰囲気。

先に口を開いたのは俺だった。

おもむろに立ち止まり、弥生の後ろ姿を見つめる。

止まった俺に気が付いた弥生が黙って振り返った。

「弥生さん、俺弥生さんが好きです」

驚くような弥生の顔が目にはいる。

「俺と、付き合ってください」

顔を隠すように弥生がうつむいた。

その顔色は髪に隠れて見えない。
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