夕焼けの恋
不意に聞こえた愛しい声。

「ちょっと待って、今行く!」

慌てて荷物を取ってドアに向かう。

「じゃあ深友、また明日」

「うん!工藤くん、弥生泣かせたら許さないからね!」

低い声色で脅すように言う深友の顔は優しく笑っていた。

「もちろん、お任せください!」

光樹が笑顔で返した。


隣を歩く光樹の頭ひとつ分高い横顔を見上げる。

私の視線に気づいた光樹がこっちを見た。

「前に言ってた光樹くんにやってもらいたいこと、言ってもいい?」

「なんですか?」
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