君に届け
「お前、肘後ろに入りすぎなんだよ。
 せっかく体まっすぐ立ててるのにまっすぐ引き下ろせてなさすぎ」






っ!



いつの間にか、私の後ろに回った先輩が私の腕を掴み正しい方向に持っていく。



「ほらっ。
 ここ意識して。もう一回打ち起こして。」

「支えてやっから、こっち側に引きおろせ。」




先輩は真剣な顔をして、私の腕を矯正していく。
 


かくいう私は、、


「お前、聞いてんのか?」



ごめんなさい、聞けてません!


近い!
近すぎる!

もう、ほんとに頭の中が真っ白で。
今の先輩とわたしの距離は、多分10cmもなくて、、先輩の熱がほのかに私に伝わってくる。




「お前、何そんなに赤くなってんだ?」



不思議そうな顔をしながら、さらに近づいて私の顔を覗き込んでくる。



逆になぜ気づかない!
天然?天然なのか!?











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