となりの君へ
「…未紘、帰ろ」

教室の喧噪の中でその声はやけに響いて聞こえた。


いつかと同じように私は半ば強引に腕を引かれて教室を出る。

出る直前に類と結奈が見えたが、何かにひるんでいるような表情をしていた。

今度は類は追ってこなかった。

「蒼太、」

廊下の角で止まった。

「ごめんね、勝手に連れてきちゃった」

「ううん、ありがとう」

「類は、バカだね」

「そうかもね」
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