となりの君へ
菜緒は断言する。

「未紘もみんなも人間だから。理屈ではいかないこともあるよ」

「そっか。私、頑張ってみる」

最後の言葉はほぼ私の独り言だったが、菜緒は私にうなずいた。

心を決めて、今まで話していた教室を出ようとする。

そのときちょうど私が通ろうとしたドアから類が出てきた。

気持ちに気づいた今は少し気まずい。

それでももっと気まずそうにしていたのは類の方だった。

「あ」

そう言った時だけ類は私を見ていた。
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