目が覚めたら憧れの峰崎くんと結婚することになっていました

※※※


朝食のあとは身支度を整えた。


峰崎くんはひげを剃りながら、『ユカコのメイクポーチはそれ』と指差して教えてくれた。


私のメイクポーチだというそれを開けてみた。


うん。BBクリーム、眉ペンシル、それからグロス以外、使い方がよくわからないアイテムばかり。


グロスにしたって何色もあって、どれを使えばいいのやら。


どうせ式場でメイクされるんだし……


「私、ノーメイクでいいやー」

「えっ? うわ、痛っ!」


峰崎くんの顎下にポツンと赤い点が付いていた。


「ご、ごめんね。急にしゃべったから」

「いや、ユカコのせいじゃないよ。それにすぐ止まるし、ここならたぶん目立たない」


峰崎くんは顔の角度を変えながら、鏡を調べた。


「俺って大事な場面でカッコつかないんだよなー」


峰崎くんがそう独りごちるのが聞こえた気がした。

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