目が覚めたら憧れの峰崎くんと結婚することになっていました

※※※


当然、到着したときには、役所は閉庁していた。


「記念写真撮ろうよ」


峰崎くんが婚姻届とスマホを取り出した。


「うん、撮ろう!」


たったこれだけのことなのに、嬉しさがこみ上げてくる。


「すっぴんのユカコと写真なんて初めてかもなー」

「えっ、すっぴんで出かけるのってマズかった?」

「ううん。俺はユカコのすっぴん顔、好きだよ。いつもそう言ってるんだけどね」


そっか。大人になると、すっぴんで出かけないのか。


峰崎くんがさっきひげを剃る手を滑らせたのは、やっぱり私のせいだったんじゃない?


私たちは閉まっている役所をバックに、顔を寄せ合って婚姻届を広げ自撮りした。


婚姻届の提出は感慨も何もなかった。


宿直員さんが、私たちの提示した運転免許証(私、普通自動車免許を取得していた!)で本人確認を行い、『はーい、それでは婚姻届をお預かりしますねー』と受け取ってお終い。


「これで終わりなんて、あっさりしすぎてて特別感がないね」

「それは今日これから目いっぱいあるよ。次は式場に向かおう!」

< 30 / 41 >

この作品をシェア

pagetop