目が覚めたら憧れの峰崎くんと結婚することになっていました

だけど、リハーサルでは誓いのキスの予行まではしなかった。


「皆さん恥ずかしくて、ちゃちゃっと終わらせたくなるんです。ですが、お互い向き合ってベールを上げるところから、ゆーっくりお願いしますね。何といっても、お式のクライマックスですから」


そう念押しされただけで済んだ。


「本番中、本当の直前でいいから、キスしてほしい場所を指差すとかして教えて」


峰崎くんはギリギリまで猶予を与えてくれた。


でも……式の開始まであと1時間、誓いのキスまでは1時間半ってところだろうか?


私に決めきれるかな……


と、そのとき、係りの人が無線機に耳を傾けた。


「受付をしてくださるご友人が揃われたようです。ご挨拶されますよね?」

「はい、もちろんです」


峰崎くんが即答した。


ご友人……


今の私が知っている人ならいいんだけど……


峰崎くんは、私の表情から私の考えていることが読めたらしい。


「全員、高校のときの友達だよ」

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