目が覚めたら憧れの峰崎くんと結婚することになっていました
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医師から説明を受けた。
「CT検査の結果、骨と脳に異常は見つかりませんでした。気をつけてお帰りください」
CT? そんなものいつ撮ったんだろう?
あっ、昏睡している間にか。
「よかったわねー!」
お母さんは大袈裟なほど喜んだ。
病院を出ると、お母さんがふいに聞いてきた。
「ユカコ、自分の家に帰るの?」
「はあ? 当たり前でしょ?」
入院するわけじゃないんだから、自分の家以外どこに帰るっていうのよ!
「そう? 今日ぐらいこっちに帰ってきてもいいんじゃないかって思ったんだけど……」
『こっち』ってどっち?
つい眉間にシワが寄る。
「そんな顔しないで。無理に『帰ってこい』って言ってるわけじゃないのよ。でも何かあったらすぐ連絡ちょうだいね」
お母さんはそう言うと、今度は峰崎くんのほうを向いて、深々と頭を下げた。
「ユカコのこと、どうぞよろしくお願いします」
それから傘を広げると、スタスタと夜道を歩いていってしまった。