星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
というよりそれ以前の問題で、入社して間もないのに先輩を口説くのもどうかしてるけど。


「こんなところに呼び出してどうかしましたか? ご飯、行く気になったとか?」


まだ諦めていなかったのか……。 と少々呆れ気味に「はぁ」とため息を漏らしてから、本題に入る。
立ったまま右足を小刻みに動かしている若松くんは、多分イライラしてる。


「あのね、私を口説いても無駄だと思って? 私、そんな軽い女じゃないし、ちゃんと彼氏いるから」


〝軽い女ではい〟と言っても、以前はそんなこともなかったけど。
平気で妻子持ちの男性に手を出すような女だったし、あわよくば奥さんから彼を奪おうとすらしていた。

そんな私を変えてくれたのは間違いなく大空の存在があったからで、大空のことを裏切るようなことだけはしたくないと思っている。


「……別にバレなきゃよくないですか?」

「は? なに言ってるの? だからそういう問題じゃないの」


呆れて物も言えない。
バレなかったらいいとか、バレたらダメとか、そういうことを言っているんじゃない。

大空と年が同じなのにこんな幼稚な考え方で、本当に22歳なのかと疑ってしまうくらいだ。


「井筒さん頭が固いなぁ。 今時浮気や不倫なんて当たり前ですよ」


そう言いながら急に若松くんが近付いてきて、私の身体をそのまま壁に押し付けた。
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