星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
手を掴んでいる力を強めたのか、若松くんが顔をしかめた。

「……チッ、離せよ」と、鋭い目つきで梅沢先生を睨み返している。 それにすらなにも反応しない梅沢先生は、「次、こんなことしたら上司に言いつけるからな?」とキツく言って、彼を解放した。

なにやらブツブツ言いながら若松くんは逃げ出すようにその場から去って行く。
緊張から解放された私は、その場にペタリと座り込んだ。


「おい、大丈夫か?」

「……っ、こわ…怖かった……」

「ちょっと落ち着けよ」


と言いながら私の身体を支え、椅子に座らせてくれる梅沢先生。 「なにか飲み物買ってくるから」と言って図書室を出て行ってしまう。

……本当に怖かった。
もし梅沢先生が止めに来ていなかったら、今頃私は襲われていたかもしれない。

そんなことを考えているうちに梅沢先生が図書室に戻って来て、あたたかいお茶を手渡してくれた。
「ありがとうございます」と震える手でそれを受け取ると、安心したのか涙が溢れてくる。


「星七、こんなところで男と2人きりになるな。 危ないだろ?」

「……すみません。 まさか、こんなことになるなんて思っていなくて」

「星七はかわいいんだから、油断しちゃいけない。 遠山にも心配かけることになるぞ」


いきなり大空の名前を出されて、驚いて梅沢先生を見つめる。
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