星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
知っていたんだ。 私と大空が付き合っているって。
別に知られていたからと言って悪いことをしているわけでもないし、大丈夫なんだけど……なんとなく気まずい。

なにも言えなくて黙って俯いていると、梅沢先生が沈黙を破った。


「俺、ちゃんと妻と話し合うよ。 最近の星七のことを見てて、そう思った」


……まさか、梅沢先生からそんな言葉が聞けるなんて。
1年ほど前に私と関係を持っていたときは、離婚する方向へ進めていくんだろうと勝手に思っていた。

梅沢先生も私と同じで、偽りの愛を求め続けていくのだと……。

でも、それは私の勝手な思い込みでしかなくて、本来の梅沢先生はきっと奥さんに一途で、ちゃんと奥さんに対して愛情を持っている人なんだ。


「星七、ありがとうな」

「え? 私はなにもしていません。 むしろ、梅沢先生夫婦の邪魔をしていたというか……」

「いや。 星七に出会えなかったら、本当の愛の意味を知ることができなかったから。 星七のことは傷付けたと思うけど……出会えてよかった」


梅沢先生にそう言われて、鼻の奥がツンと痛くなった。
いきなり感謝の気持ちを伝えられて、どう返事をしたらいいのか迷ってしまう。

けれど、私の存在は梅沢先生にとって悪いことではなかったようで、それはそれで素直に嬉しかった。
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