星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
「じゃあ、遠山と幸せにな? って言われなくても幸せか」


手を振りながらにっこりと笑って、梅沢先生は図書室を出て行ってしまった。
その笑顔は今までに見た中で1番の笑顔で、梅沢先生の中ですべてが吹っ切れたような、そんな表情。

でも……奥さんとの仲が修復できそうで、本当によかった。

梅沢先生と関係を持っていた手前あまり偉そうなことは言えないけれど、私としても彼には今まで以上に幸せになってもらいたいと、そう思った。


* * *

今日、大空は土曜日出勤の振り替えでお休み。

ちょっとやっかいな患者さんのカンファレンスが終わりアパートに帰宅すると、大空が私の好きな肉じゃがを作って待っていてくれた。


「星七、お帰り」

「うん、ただいま」


リビングへ入るなり大空は私のことを優しく抱きしめ、頭をポンポンと撫でてくれる。

今日は、本当に色々なことがあった1日だった。
大空の匂いに包まれた瞬間安心したからなのか、じんわりと涙が溢れてくる。

それに気が付いた大空は私の顔を心配そうに見つめた。


「どうしたの? 体調悪い?」

「ん……違うよ、大丈夫……」


大好きな大空の腕にくるまれたまま、心配かけまいと首を横に振る。

でも、そんな風に否定したって意味はなくて、私の様子が少しでもおかしいと大空はすぐに気が付いてくれる。
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