星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
私のバックの中で、スマホが震えている。
どうやら、メッセージではなく電話が鳴っている様子だ。

慌ててスマホを取りだし画面を確認すると、梅沢先生からの着信。 通話ボタンを押し、電話に出る。


「もしもし。 梅沢先生? 私、まだ駅に……」

『ごめん。 今日は行けなくなった』

「えっ!? どうしてですか?」

『事情はまた後日言うから……じゃあ』


用件だけ伝えると、あっという間に切られてしまった電話。 一瞬にして通話画面から、待ち受け画面に切り替わってしまう。

あまりにも虚しすぎた電話の内容に納得できず折り返し電話をかけてみたものの、当然繋がるはずもない。
極めつけには『電源がはいっていないため……』とアナウンスが流れ始め、完全に拒否られてしまった。


どうして……? 私、ここで1人ずっと待っていたんだよ?

連絡もつかないし長時間待たされたうえ、会えなくなったって……そんな悲しいことある?


ワンピースだって新調して、髪型も変えて楽しみにしていたのに。 こんなの、ひどすぎる。

しだいにスマホの画面が歪みはじめ、涙がこぼれた。
すれ違う人の視線を感じつつも、駅から離れる。

こんなところにずっといたって、どうにもならない。
泣いているくらいなら、家に帰って自分のために時間を使った方がマシだ。
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