星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
私とは目を合わせずに窓の外を眺めながらそう言った母は、昔に比べてたいぶやせ細っている。 ふっくらしていた頬も今はげっそりとしていて、まるで別人のよう。


「……覚えて、いてくれたの?」


やっとの思いで絞り出した声は、情けないくらい震えている。

母はゆっくりと私の方を見ると、弱々しい笑顔を向けてくれた。 点滴が繋がれていない方の手を一生懸命に伸ばし、私の頬にそっと触れる。


「……あんたのこと、1日も思わない日はなかった」


母の瞳には、薄っすらと涙が光っているのが見えた。

母は、いったいいつから病気と闘っていたのだろう。
もしかしたら……痩せ細った身体で、私が帰るのをずっと待っていてくれたのかもしれない。 

そんなことを考えると胸が張り裂けそうで、一筋の涙が私の頬を伝った。


「お母さん、ごめんなさい……あのとき私、いらない子だと思ってて……男の人と出て行ったお母さんと顔も合わせたくなくて、高校を卒業と同時に出て行ったの」

「謝らなければいけないのはお母さんの方。 辛い思いさせてごめんね」


小さくなった身体で私を目いっぱいの力で抱きしめてくれる母。
母のぬくもりを感じたのはもう何十年ぶりで、溢れる涙を止めることができない。

知らなかった。 母が、そんな風に思っていてくれていたと。
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