星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
駅のホームから階段を使って出口まで向かっているときだった。

人混みに交えて、微かに梅沢先生の声がしたような気がしたのだ。
私の聞き間違いかと思いキョロキョロと辺りを見渡してみるが、なかなか姿は見えない。

……やっぱり、空耳だ。
私の会いたい気持ちが募っているから、空耳まで聞こえてしまうんだよね。

がっくりと肩を落とし、再び出口に向かおうと振り返ったとき。


「え……? 梅沢、先生……?」


今度は、見間違いでもなんでもない。
あのシルエットは、間違いなく梅沢先生だ。

しかも、彼1人ではない……。 彼と手を繋いで歩いているのは、知らない女性。
楽しそうに笑いながら、こちらへ向かって歩いて来る。

以前梅沢先生から聞いていた奥さんではなさそうで、また別な女性のようだ。

……まさか。 まさか、ほかの女性と会うために、私のとのデートをキャンセルしたの?
しかも、約束の時間を大幅に過ぎてから連絡をしてきて、その理由が……これ?

私意外にも女性がいて、今はそっちの方が大切で、だから最近私の扱いが雑になっていたんだ。


「信じられない……最低」


1人で小さくそう呟きながら、私はその場から離れた。

涙が溢れ出してはこぼれていき、なかなか止めることができない。
< 13 / 144 >

この作品をシェア

pagetop