星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
大空と向かい合っている私に「これ、お母さんにあげてね」と友希が渡してくれたのは、真っ白なローズブーケ。

それを笑顔で受け取ると、私と大空で母の待つ病室へと向かった。


「お母さん、大空とお見舞いに来たよ」


コンコンとドアをノックしてから静かに病室に入る。

相変わらず窓の外を見つめながら点滴の管に繋がれている母は、私たちに気が付くとこちらに顔を向けた。


「え……星七?」

「お母さん……どうかな? ウエディングドレス、着てみたんだけど」

「どうしたのよ、急に……」

「お母さん『星七のウエディングドレス姿が見たい』って言っていたでしょ? だから……大空と、お母さんの夢を叶えにきたんだよ」


そう言いながら、持っていたローズブーケを母に手渡す。 「きれいね……」と言いながら、私たちの方に目を向けた。

痩せてシワが増えた母の瞳には、涙が光っている。


「星七……ありがとう。 大空くんも……星七のこと、幸せにしてやってね」

「はい、もちろんです。 星七さんは、俺が必ず幸せにします」


ぎゅっと母の手を握りながら、そう言った大空。
その言葉は力強くて、大空の決意がひしひしと伝わってくる。

母は目に涙を浮かべたまま「ありがとう」と何度も繰り返し、私と大空のことを抱きしめてくれた。
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