星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
彼の言った言葉は1ミリも間違っていなくて、どう返事をしたらいいのか戸惑ってしまう。

あれだけ「相談事でしょ」と自信満々で言ったクセに、今の自分にとっては非常に都合が悪い話の内容で、息が詰まってしまいそうだった。


「……ど、どうして…そんなことを?」

「俺、見たんです。 2人で、当直室に入っていくところ」


嘘でしょう……。 あんなに周りに気を配っていたというのに。

よりによって、まだ新人の男性看護師に目撃されてしまうなんて完全に私の不注意だ。


「……お願い。 そのこと、黙ってて」


「見た」と言うのであれば、もう言い逃れなんてできはしない。
「してない!」と強く言ったところで、信用してもらえないのがオチだ。

それだったら、もう「黙ってて」とお願いするしか方法はない。 こんなことが院内に広まってしまったら、私も梅沢先生も居場所を失ってしまう。

それどころか、奥さんに多額の慰謝料を請求されてしまうに決まっている。


「どうしてですか? 井筒さん、こんなに美人なのに。 不倫なんかしなくても、ちゃんと彼氏できると思いますよ」

「……なに言ってるの?」

「井筒さんに、不倫はもったいないと言っています」


……私、もしかして口説かれてる?
入って間もない新人看護師に、私の人生を指図される筋合いはない。
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