星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
でも、この背中は間違いなく遠山くんだ。
私の腕を掴んだまま誰にも目に留まらないような狭い路地裏に入ると、呼吸を整えている。

街灯の明かりでかろうじてお互いの顔がわかるくらいの中で、少し困った表情で私の顔を見ている彼。


「……なにやってるんですか、こんな所で」

「別に……遠山くんには関係ない」

「でも、泣いてましたよね?」

「……泣いてないって。 ちょっと眩暈がして、しゃがみ込んでいただけ」


壁にもたれながら私も呼吸を整えて、遠山くんの顔も見ずに話をする。

正直、今は助かった。
でも、よりによって遠山くんに助けられたというのは、若干都合が悪い。

昼間、私たちの関係について(とが)められていたから、こんな状態になっている私になにがあったかなんて、きっと一目瞭然だろう。


「体調、悪かったんですか?」

「えぇ、ここのところ、あんまり好調ではないわね」

「色々と、無理されてるからじゃないですか?」

「……そうかもね」


〝色々〟というのは、梅沢先生のことを含めて言っているのだと思う。

でも、図星だ……。
我慢、我慢の繰り返しで、なに一つとして進歩がないこの状況に、もう心はヘトヘトなのかもしれない。

こんな状況になってまで未だに梅沢先生との関係をずるずる続けてしまうのは、まだ彼との未来に希望を持っていたいからなのだけれど……。
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