星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
その姿から、ソーシャルワーカーの井筒さんだということがわかった。
18時も過ぎてとっくに就業時間を迎えているであろうに、こんな時間まで仕事だったのだろうか。

話しかけたいと思ったが特に話題もなく、お互い軽く会釈をしてすれ違う。 相変わらずいい匂いがする彼女は、なにやら慌てている様子。

病棟へと上がる階段に差し掛かったとき、壁に隠れてついつい彼女の姿を追ってしまった。
と、彼女が向かった先はなぜか当直室。

今日の当直は、確か外科医の梅沢先生だったはず。


ーーまさか。


なんとなく嫌な予感がしてしまって、その場で彼女が出てくるのを待ってみたものの、なかなか出てくる様子はない。
どうやら、その嫌な予感は的中したようだ。

俺もこのままだと遅刻してしまうため、足早にその場を離れて仕事に就いたけれど、なぜかドキドキしている。

そんな……そんなはずはない。 あの清楚で仕事もテキパキとこなしている彼女が……不倫?
あのナースステーションで見た可愛らしい姿は、いったいなんだったのだろう。

そんなことをモヤモヤと考えてしまって、どうも仕事に集中できない。


「こーら、遠山くん! ぼーっとカルテばっかり見てないで、301号室の患者さんの点滴交換してきて!」

「はっ……! すいません、行ってきます!」
< 34 / 144 >

この作品をシェア

pagetop