星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
病院を出て、通勤ルートに差し掛かったときーー。

見覚えのある姿が、俺の視界に飛び込んできた。


「……え、井筒さん?」


その姿は紛れもなく井筒さんで、よく見るとしゃがみ込んで、その場に(うずくま)ったまま動かない。
まさか、泣いてる……?


こんな街中で、人通りもそこそこある場所で蹲っているなんて、いったいなにがあったのかなんて想像はつく。
時間的に梅沢先生と食事に行って、なにか問題が起きたのであろう。

でも、さずがに人目につく場所でそのまま放っておくわけにはいかない。 井筒さんに近づくと腕を掴み、人気のない場所まで走った。

息を切らしながら、驚いた様子の井筒さん。


「……なにやってるんですか、こんな所で」

「別に……遠山くんには関係ない」

「でも、泣いてましたよね?」

「……泣いてないって。 ちょっと眩暈がして、しゃがみ込んでいただけ」


さすがになにがあったかまでは言わない彼女。
目が泳いでいる辺り、やっぱり梅沢先生となにかあったのだと悟った。

でも、ここは彼女の〝体調が悪い〟と言っている話を素直に聞き入れておくべきであろう。


「体調、悪かったんですか?」

「えぇ、ここのところ、あんまり好調ではないわね」

「色々と、無理されてるからじゃないですか?」

「……そうかもね」
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