星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
なんだろう。 食べている物は、梅沢先生にご飯をご馳走になるときよりも遥かに庶民的。
それなのに、なんだか楽しくて、ご飯もいつも以上に美味しく感じられて、あっという間に食べ終えてしまった。


「本当に美味しかった。 教えてくれてありがとう」

「いえ、こちらこそ。 ご馳走様です」


そんな会話をしながらお会計を済ませて外へ出ると、夏の夜風が顔に当たり気持ちがいい。

今回は〝昨日のお礼に〟という形で私が誘ったけれど、久しぶりに楽しいと思える外食をしたような気がした。


「井筒さん。 この後少し、海辺で話しませんか?」


駅へと向かう道中で、今度は遠山くんが誘いを持ち掛けてくる。
この前からなんとく口説かれているような気がするのは、私の気のせいなのだろうか?

私と梅沢先生との関係をどうにか改善したいのかはわからないけれど、彼に誘われても不思議と嫌な気はしない。


「ちょっとだけね。 今日は疲れたし、早く帰って休みたいの」

「いいですよ。 30分くらいです」

「遠山くんって、意外に大胆なところあるよね」

「そんなことないです。 普段は大人しいので」


澄ました表情で〝大人しい〟と言った遠山くんの発言に、思わず笑ってしまった私。
「もう、笑わないでくださいよ」と言った遠山くんもどことなくニヤついていて、またそれがおかしくて、今度は2人で笑ってしまった。
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