星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
お酒も飲んでいないのに騒ぎながら1駅分歩いて、目的地である海辺に到着。 夏の海はまだ人がいて、浜辺で手持ち花火を楽しんでいる家族が何組かいる。

小さな子どもが「わぁ! きれい!!」と楽しそうにはしゃいでいる姿を見て、なんだか微笑ましくなった。
ふと遠山くんの顔を見ると、優しい顔で家族を見つめている。


「遠山くんも、そんな優しい顔するのね」

「それってどういう意味ですか?」

「ちょっと意外って意味よ。 だって、第一印象めっちゃ悪かったからね」

「えーっと……そうですかね?」


過去を思い出すかのように、腕を組み考える素振りを見せる彼。

そんな彼に対してふっと笑いかけてから、私は堤防に腰かけた。 優しい波音が、気持ちを和らげてくれる。
その横に遠山くんが並んで座り、2人で海を眺める。


「いいでしょう、夜の海も」

「……そうね。 暑さが残っているかと思ったけど、そうでもないし」

「結構好きなんですよね、夜の海って。 昼間とは違って、どこか神秘的な感じもするし」


海を眺めながらそう言った遠山くんの横顔は、とても綺麗だった。 さっきラーメン屋で隣に座っていたのに、気が付かなかった。
こんなに近くでまじまじと彼の顔を見たことはなかったから、ついつい見てしまう。

私の視線に気が付いたのか、遠山くんは私の顔を見てにっこりと笑顔を見せてくれる。
< 51 / 144 >

この作品をシェア

pagetop