星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦

サヨナラ

今日は金曜日。 俗に言う〝華金〟で、各部署のあちらこちらで「今日ご飯どう?」とか「飲みに行こうか」と言う声がちらほら聞こえる。

午後からナースステーションに用事があって行くと、遠山くんも出勤している様子。
視線が合うとなんだか恥ずかしくなって、サッと目を逸らした。


昨日の夜。 あの海辺で彼と話しをした。

彼は私を抱きしめたまましばらく黙っていたけれど、その後「俺がちゃんとした恋愛を教えてあげます」と言ってくれたのだ。
それが彼なりの告白だったと理解するのに少し時間がかかってしまったけれど。

でも、すぐに返事はできないと思った。


梅沢先生との、このあやふやな関係に終わりを告げなければーー。


そんな思いを胸に、今日は出勤。 ちょうど梅沢先生の当直で、案の定お昼休みに当直室へのお呼び出しのメッセージが入っていた。

『いつもの時間に行きます』と返事をしたけれど、今日は抱いてもらいに行くのではない。
ダラダラと続いていた関係を、今日で終わりにするために会いに行く。

きっと、梅沢先生は私がそんなことを言うなんて想像もしていないと思う。

でも、真正面から私に向き合ってくれた遠山くんに、私もちゃんと答えたいと思った。
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