星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
あれだけ心地いいと感じていたキスですら、今はもうなにも感じなくなってしまった。 それどころか、触れられたところが段々冷えて凍っていくような感覚になり、身体中が震えている。

……助けて。 そう心の中で叫んでも、誰も来てくれるわけがない。

ーーもう、終わりかな。


そう思ったときだった。

『ピピピ……』と、梅沢先生の白衣の胸ポケットで、院内専用のスマホが震えだした。

その音と同時に私を掴んでいた梅沢先生の手が緩み、スマホに手を伸ばす。 「救外からか……」とめんどうくさそうに言うと、通話ボタンを押して対応を始めた。


「え? あぁ、うん……じゃあ、今から行くわ」


そう言って少し乱暴に通話終了ボタンを押すと、胸ポケットにスマホを片付けた。 明らかに不機嫌そうな顔で私を見つめると、乱れた白衣を整えている。

……助かった。 今まであまり呼び出しってなかったけれど、本当にベストタイミングだ。


「じゃあ、もう君とは終わりってことで。 本当、最後の最後までつまらない女だったな」


自分の思うよにいかなかったことに対して不満を漏らし、吐き捨てるようにひどい言葉を私に投げつけると、梅沢先生はなにごともなかったかのように当直室を出て行ってしまった。

1人になった瞬間全身の力が抜け、ガタガタと震えが止まらない。
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