星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
考えすぎて昨日はあまり眠れなかったけれど、それは大空には秘密にしておく。


「星七、大丈夫だよ。 父さんも母さんも、俺のすることに基本反対はしない。 看護師になって県外に出たいっていうわがままも、聞いてくれたから」

「うん……ありがとう」


千秋さんの視界に入らない場所で、きゅっと手を握ってくれる大空。 その手を握った力強さから〝安心して〟ということが伝わってきた。

きっと大空は、ご両親の愛情をたくさん受けて育ってきたのだと思う。
まだご両親にお会いしていないけれど、千秋さんと大空の言葉からなんとなく想像がつく。

だからこそ、辛い過去がある私を受け入れてくれたのだろうし、ご両親に紹介したいと思ってくれたのだろう。 そんなあたたかい環境で育ってきた大空が、少しだけ羨ましく思える。


「着いたよ! 長旅お疲れ様」


到着したのは福井駅前よりもさらに人通りが少なく、静かな場所。

車を降りると、すうっと新鮮な空気が鼻筋を通り抜けていく。


「本当、空気がきれい……」

「周りが山だからね。 都会とは違うね」


車から降りて私の方へと回って来てくれた大空は、さっき豪快に乗せたスーツケースを下ろし、実家の玄関へと向かって歩き始めた。

その後を追いかけるように、小走りで大空のあとをついて行く。
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