星空の下で愛を♦年下看護師の彼は彼女に一途な愛情を注ぐ♦
ドキドキと心臓が大きく波打っていて、周りに聞こえてしまわないか心配になるほどだ。


「はっ、初めまして。その……い、井筒星七と申します」


緊張しすぎて、どうしたものか、声が裏返ってしまった。 仕事を始めたころ、患者さんと初めて接するとなったときに、こんな風に緊張していたことを思い出す。

恥ずかしくなって俯いている私の背中を、大空がポンっと触れた。


「父さん。 星七さんは、俺の彼女」


戸惑っている私に助け船を出してくれたのは、大空。 〝俺の彼女〟だと、改めて紹介してくれた。

ご両親の前でそう言ってくれたことに、嬉しくて顔が熱くなる。


「星七さん、だね。 待っていたよ。 みんな、星七さんに会えるのを楽しみにしていたんだ。母さんなんて、昨日から『食事はなにがいいか』って、そればかりだよ」

「お父さん、やめてくださいよ。 さぁ、座って。 今お茶を淹れるから」


私の背中にそっと手を添えた大空は、椅子に座るよう促してくれた。


……嬉しい。 
私がここへ来ることを、こんなにも楽しみにしていてくれたなんて。

さっきまであんなに緊張していたのに……大空のご家族があたたかく迎え入れてくれたお陰で、胸の辺りがぽかぽかとあたたかくなる。
< 95 / 144 >

この作品をシェア

pagetop