【マンガシナリオ】キミの笑顔の裏側は…!?
♡°·第3話·°♡秘密を守るために…!
○学校・中庭(昼休み)
翌日の昼休み、楓を中庭に呼び出したさくら。昨日の一件が気になり口止めのために楓を呼び出していた。
中庭は人気もなく、周りには誰もいない。さくらと楓の二人きりだ。
言いにくそうに口ごもりつつ、さくらは言葉を選び口を開く。
さくら「えっと…遊佐くん、昨日のことだけど…」
おずおずと要件を切り出すさくらに対して。
楓「なーんだ王子のこと?さくらちゃんからの呼び出しだから告白かなって期待したのに〜」
と、さくらを茶化す楓。
さくら「……」
楓「うわぁ〜。そんな軽蔑した目で見ないでよ。普通に傷つくな〜」
特段傷ついた様子もないくせにそんなことを言う楓の軽いノリにさくらは内心ため息をこぼす。
さくら(どうしよう…話が進まない)
その時。
楓「ま、別に周りにペラペラ話すことでもないし?黙っててあげてもいいよ?」
楓はニコッと爽やかな笑みを浮かべて答えた。
さくら「本当に…?」
あまりにあっさり承諾する楓にさくらは拍子抜けしてしまう。
楓「マジマジ。ただ、1つだけお願いがあるんだけど〜いい?」
さくら(お願い…?)
怪訝な顔つきでさくらは「何…?」と問いかける。
楓「大丈夫。そんな難しいお願いじゃないから。実はさ〜うちの妹が王子のファンでね?よかったら仲をとりもってやってほしいんだ。王子ってガード固いけど、さくらちゃんには気を許してるみたいだしさ〜」
さくら「遊佐くんの妹…?同じ学校なの?」
楓「そ。実は、俺の所、両親離婚してるもんで名字は違うんだけど実の妹だよ。知らない?1年の木崎妃奈(ひな)」
さくら(木崎妃奈…!?確か、今年入学式で騒がれてた子だよね…)
さくらは入学式のある出来事を思い出す。
○回想 4月の入学式当日(学校・体育館)
入学式の日。新入生が1組から順番に体育館へと入場する。体育館の中は拍手が巻き起こる。
男子A「おい!見ろよ。あの1年生めっちゃ可愛いぞ」
男子B「は?どこどこ?」
前に座っているクラスメイトの男子たちがヒソヒソと話す声が聞こえてきた。
男子A「ほら、1組の…」
男子B「マジじゃん。かわいい〜」
さくら(どの子だろ…)
ついつい気になって入場して着席し始めた1組の列に目をやるさくら。
そこにはひと際目を引く美少女の姿があった。
美少女の見た目
肩にかからないくらいの黒髪。白い肌に綺麗な赤い唇、ぱっちり二重にあどけなさの残った童顔。身長は小さめ(150センチくらい)
さくら(うわ〜めっちゃ可愛い…!)
普段、幼馴染で美形の藍と琳(藍の弟)の顔を見慣れているさくらでもついつい見入ってしまうくらいの可愛さ。
さくら(あの子、絶対モテるだろうな〜!なんというか守ってあげたくなる小動物系で)
その後、さくらの予想通り美少女…木崎妃奈ちゃんは学校で1、2を争うモテ女として名を馳せることになったのだ――。
(回想終了)
さくら(あの時、私が目をつけた美少女がまさか遊佐くんの実の妹ちゃんだなんて…)
開いた口が塞がらないとはまさにそのことでさくらは目をしばたたかせる。
さくら「木崎妃奈ちゃんって…1年で1番可愛いんじゃないかって言われてる…あの…?」
楓「あ、よかった〜。さくらちゃんも知っててくれてるのね。俺の妹。そ、可愛いだろ〜」
さくら「…本当に妹なの…?」
疑いの目を向けるさくら。
楓「え、ひどくない?どう見ても俺にそっくり。血縁感じるでしょ!?」
と、ショックを受ける楓。
改めてさくらは楓の容姿をまじまじと見つめる。
さくら(そりゃ、確かに遊佐くんもイケメンだとは思うけど…妃奈ちゃんとは系統違うんだよなぁ…どちらかというと藍の妹って言われたほうが納得かも)
内心そんな失礼なことを考えていると。
楓「ま、とりあえず…うちの妹と王子の仲を取り持つ提案はのんでもらえるのかな?」
ショックから立ち直った楓が改めてさくらに向かって笑顔で問いかけてきた。
さくら「えっと…その…私だけでそんなの勝手には…」
そもそも藍は学校では王子様だが、普段は陰キャな引き篭もり。
そんな奴を妃奈ちゃんに紹介してもいいものか…。それに藍に何も言わず私の判断で決めて良いものか。
難しい表情で悩むさくら。
楓「あ、もしかして…さくらちゃん、王子のこと好きとか?それとも実は付き合ってたり…」
さくら「…!?どっちも違うよ。藍とは幼馴染なだけで…」
楓「じゃあ、全然問題ないじゃん。俺も王子はいけ好かないと思ってたけど、ゲーオタだって知ってある意味親近感わいたし〜。妃奈レベルの可愛さに釣り合う男って今まで俺くらいしかいなかったけど…まぁ、王子レベルならその辺もクリアしてるし。何しろ妃奈が気に入ってるからな、兄としては応援してやりたいわけですよ」
さくら「遊佐くんって…ただのシスコンかと思ったけど案外、良いお兄ちゃんなんだね」
楓「うわ〜褒めてるのか、貶されてるのかちょっと微妙だけど…」
苦笑いを浮かべる楓をよそにさくらは思案する。
さくら(妃奈ちゃんを藍に紹介すれば、楓くんはちゃんと約束は守ってくれるだろう。そうなれば藍にとっても都合はいいだろうし、紹介した後で妃奈ちゃんと藍がどうなるかなんて…わかんないし)
チクンと胸が少しだけ痛んだことに首を傾げるさくら。
しかし、結局は…。
さくら「…わかった。とりあえず藍と妃奈ちゃんが話すきっかけを作るだけでいいんだね?」
楓「お…!やる気になった?そうそう。それだけ。後は上手く行っても行かなくてもそれは2人のことだからしょうがないし。もし、上手く行かなくても王子の秘密は守るよ。それじゃ、とりあえず俺らで連絡先交換しよー」
ニヤッと不敵な笑みを浮かべ、スマホを取り出す楓にさくらもコクリとうなずくと、スカートのポケットからスマホを取り出し、お互いの連絡先を交換したのだった。