【短】俺の彼女泣かせたやつを八つ裂きにしようと思ってたら、なんと俺だった件。
「最初の頃に言わなかったっけ?俺には3歳離れた姉ちゃんがいるって」
「………」
「このみちゃん?…忘れたなんか言わせねえからな」
意地悪に目を合わせてくる結多くん。
私の腰にはすでに腕が回されていて、くいっと簡単に引き寄せられては密着。
「あ、あのひと…は、結多くんのお姉さん…なの?」
「写真みる?そうなるともう逃げられねーよ?」
「…み、見ない…」
「いや見ろ。そこは見なさいよさすがに」
ホッとしたように息を吐いて、ポケットからスマートフォンが取り出される。
手早く操作して数秒。
見せられた画面には、あの日、駅前で彼と一緒に歩いていた女の子が写っていた。
結多くんとのものだけじゃなく、お母さんとお父さん、家族みんなで撮った写真だったりも何枚も見せてくれる。
「写真だけじゃ完全には信じきれないと思いますので、ここで結多。姉ちゃんに電話をかけたいと思いまーす」
「え…」
「このみちゃん喋ってね?」
「えっ、ちょっ…」
本当に電話をかけ始めちゃった……。
プルルルルと、私にも聞こえてくる発信音。