【短】俺の彼女泣かせたやつを八つ裂きにしようと思ってたら、なんと俺だった件。




「あっ、もしもし姉ちゃん?ちょっと例のヴィーナスに代わるけど、優しくしねえとガチで訴えるから」



はいこのみちゃん───と、渡された結多くんのスマートフォン。


そんな急に渡されても……っ!

私だってまだ心の準備が整っていないし、泣いたあとだから声だってガラガラ。



『もしもーし、あれ…?このみちゃーん?』



戸惑っている私を感じ取ったのか、お姉さんの声が画面の先から聞こえてくる。

一人っ子の私にはすべてが新鮮だった。



「もっ、もしもし…」


『やっだヴィーナスっ!!声だけで分かる、この子はいい子だわ……。ユイから話は聞いてるよ~!』


「へっ、あ、ど、どうも……初めまして…」


『かわいいーーっ!!今度はあたしが居るときに遊びにおいで?一緒にランチでも食べようね!』


「はっ、はい…、あ、ありがとう…ございます…」



あのとき結多くんと話していた女の子とまったく同じ声。

ここでこのみ、自分がどれだけ恥ずかしい勘違いをしていたのかと、思い知る。



「……もう俺と会ってくれない?悲しみの結多だぜそれは」



< 22 / 28 >

この作品をシェア

pagetop